もっと詳しくその1 〜家族経営協定は話し合いを促す手段

もっと詳しくその1 〜家族経営協定は話し合いを促す手段

1.論点を明確に話し合いを行う!

家族経営協定に取り組む際に、協定書づくりそれ自体が目的とならないように十分留意する必要があります。協定はいわば道具立ての一つであり、その活用により、農業経営の改善や家族各人の働きやすい条件の整備等を着実に進めて行きましょう。

家族経営協定に盛り込みたいと考える内容は、年齢や性別・家族内での立場によって、受け止め方や関心事が大きく異なることがしばしばあります。このため、話し合いを通じて、相互に理解すること、共通の一致点を見つけて行くことが大切です。

こうした中で、例えば、わが家の働き方改革に着手するために「いま、何をするべきか」を考え、さらに、農業をめぐる家族の目標・夢に向かっていかに取り組み・接近して行くべきか、論点を定めて話し合いを進めてみましょう。

話し合った内容を、家族で文章にすると、これまで不明瞭であった点も相互に把握できることにもつながります。

沖縄県では、かつて協定を「我が家のドリームマップづくり」と位置付け、経営や生活の多様な場面を見つめて行くために、穴埋め式のチェック項目に沿って各農家内で協議し、協定項目を決めて行くという方式を主眼とした教材が作成されたことがあります。これは、話し合いを基本とする家族経営協定の考え方を、端的に集約した普及マニュアルと言えます。

こうした視点に立って、日常の経営と生活をめぐる課題の、現状から将来展望までを家族や夫婦間でお互いに考え、協議して行く取り組みを進めて行きましょう。

2.最初から「文書化ありき」とは限らない!

また、協定書という形にすることは拙速に行わず、各農家の状況に合わせて、実質的な取り組みを醸成しながら、計画的に文書協定の締結へとつなげる方法も視野に入れても良いと思います。

筆者が以前に訪問した栃木県内の酪農家・Hさんの家では、これまでに何度も協定内容を見直し・更新しつつ、経営展開に活かす家族経営協定に取り組んで来られました。ところが、Hさんは、家族経営協定をめぐり「まずは文書化ありきではない」と強調されていました。家族でよく話し合い、明確なルールや目標を確認し、それに基づく実践を進める中で、時機をとらえて文書化してきた過程を話してくれました。

この方式を家族で長年にわたって繰り返し行い、協定書のグレードアップも実現してきました。

3.家族経営協定に取り組む時の3原則!

以上のことを踏まえつつ、筆者が長らく協定普及に関わってきた中で、一貫して強調してきた、家族経営協定の取り組み方の3原則に言及させていただきたいと思います。

それは、①家族が話し合いを積み上げ、各農家の経営や生活に合った協定内容を組み立てること、②文書化は目的ではなく、家族構成員の処遇の明確化、家族共通の経営目標(またはその実現へのプロセス)等を明らかにするための手段であること、さらに③締結後も協定内容を点検・必要に応じて見直しも行い、絶えず経営や生活の改善を考えることです。

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