健康保険の配偶者控除
1.国民年金被保険者の種別
日本国内居住の20歳から60歳までの人は、国民年金の被保険者です。国民年金には3つの種別があります。
被保険者の種別 | どんな人が? | 保険料の納付 |
---|---|---|
第1号被保険者 | ・学生 ・自営業者 |
自分で納付 平成30年度月額保険料16,340円 |
第2号被保険者 | ・会社員 ・公務員 |
勤務先で納付 保険料は標準報酬月額(給与)によって異なり、給与から控除(半額会社負担) |
第3号被保険者 | ・第2号被保険者の被扶養配偶者 | なし 配偶者が加入する制度が負担 |
2.第3号被保険者とは
第3号被保険者とは、会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者に扶養される配偶者の方(20歳以上60歳未満)であり、収入要件は年収130万円未満です。第3号被保険者である期間は、保険料を自分で納付する必要はなく、保険料納付済期間として将来の年金額に反映されます。健康保険の被扶養配偶者ですので、健康保険料(40歳以上の場合は介護保険料も)を納める必要もありません。
3.所得税の配偶者控除・配偶者特別控除
2017年度税制改正において、配偶者控除を受けるための配偶者の年収上限が引き上げられる等、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しがされました。配偶者の年収が103万円以下であれば配偶者控除が38万円受けられます。年収103万円を超え150万円までは、配偶者控除と同額38万円の配偶者特別控除が受けられます。年収150万円を超えた場合、段階的に配偶者特別控除額が減額され、201万6千円以上になると配偶者特別控除は受けられなくなります。
納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用を受けることができません。なお、納税者や配偶者の所得金額ごとの控除金額は、次頁の早見表どおりです
配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表
居住者の合計所得金額 (給与所得だけの場合の居住者の給与等の収入金額) |
【参考】 配偶者の給与年収額 |
||||
---|---|---|---|---|---|
900万円以下 (1,120万円以下) |
900万円超 950万円以下 (1,120万円超 1,170万円以下) |
950万円超 1,000万円以下 (1,170万円超 1,220万円以下) |
|||
配 偶 者 控 除 |
配偶者の合計所得金額 38万円以下 |
38万円 | 26万円 | 13万円 | 1,030,000円以下 |
(老人控除対象配偶者) | 48万円 | 32万円 | 16万円 | ||
配 偶 者 特 別 控 除 |
配偶者の合計所得金額 38万円超 85万円以下 |
38万円 | 26万円 | 13万円 | 1,030,000円超 1,500,000円以下 |
85万円超 90万円以下 |
36万円 | 24万円 | 12万円 | 1,500,000円超 1,550,000円以下 |
|
90万円超 95万円以下 |
31万円 | 21万円 | 11万円 | 1,550,000円超 1,600,000円以下 |
|
95万円超 100万円以下 |
26万円 | 18万円 | 9万円 | 1,600,000円超 1,667,999円以下 |
|
100万円超 105万円以下 |
21万円 | 14万円 | 7万円 | 1,667,999円超 1,751,999円以下 |
|
105万円超 110万円以下 |
16万円 | 11万円 | 6万円 | 1,751,999円超 1,831,999円以下 |
|
110万円超 115万円以下 |
11万円 | 8万円 | 4万円 | 1,831,999円超 1,903,999円以下 |
|
115万円超 120万円以下 |
6万円 | 4万円 | 2万円 | 1,903,999円超 1,971,999円以下 |
|
120万円超 123万円以下 |
3万円 | 2万円 | 1万円 | 1,971,999円超 2,015,999円以下 |
|
123万円超 | 0円 | 0円 | 0円 | 2,015,999円超 |
※出典 国税庁ホームページ
4.「パートタイマー本人の所得税、市県民税」と「配偶者が受けられる控除」
給与所得者は、その年収に応じて課税されますが、パートタイマー本人に課税されるか否か、また配偶者が配偶者控除を受けられるか否かは、パートタイマーの所得金額によります(下記表参照)。
パートタイマーの年収額 | 本人 | 本人の配偶者 | ||
---|---|---|---|---|
課税対象 | 控除を受けられる対象 | |||
所得税 | 住民税(所得割) | 配偶者控除 | 配偶者特別控除 | |
100万円以下 | × | × | 対象 | × |
100万円を超え103万円以下 | × | 対象 | 対象 | × |
103万円を超え150万円以下 | 対象 | 対象 | × | 対象 |
150万円を超え201万6,000円以下 | 対象 | 対象 | × | 対象 (年収額により減額) |
201万6,000円以上 | 対象 | 対象 | × | × |
※配偶者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用を受けることができません。
5.パートタイマーの働き方と手取りシミュレーション
「パートタイマーで働きたいんだけど一番お得な働き方は?」と質問されることがよくあります。働き方により、社会保険に加入しなければならないですし、所得税・市県民税の納付義務が生じる場合もあります。社会保険は、加入しておくと将来の厚生年金給付にも反映されますが、手取りが気になります。パ-トタイマ-が夫の健康保険扶養で働く場合(パ-トA)と、社会保険に加入して働く場合(パ-トB)の手取りシミュレ-ションを作成しました。次表の場合、AとBの年間手取り額の差は10万円程度です。社会保険に加入して働くパートタイマーの場合、年収が200万円程度あるとお得感が増すようです。
パートタイマー雇用事例(農業法人)
※年齢は40歳未満
パートA (事業場 500 人以下) |
パートB | ||
---|---|---|---|
労 働 条 件 |
労働時間 | 25時間 / 週 (5時間 × 週5日) 夏休み・冬休み有 |
30時間 / 週 (6時間 × 週5日) 夏休み・冬休み有 |
年間休日数 | 120日 | 120日 | |
年間労働日数 | 245日 | 245日 | |
雇用期間 | 1年(更新有) 又は常用 | 1年(更新有) 又は常用 | |
雇用保険 労災保険 |
有 | 有 | |
健康保険 厚生年金 |
無 | 有 | |
給与 | 時間給 1,000円 | 時間給 1,000円 | |
賞与 | 無 | 年間 10万円 | |
年収① | 約 122.5万円 (1,000円 × 5時間 × 245日) |
約 157万円 (1,000円 × 6時間 × 245日+10万円) |
|
年 間 控 除 額 |
雇用保険料②(①×0.4%) | 4,900円 | 6,280円 |
健康保険・厚生年金③ | 無 | 226,300円 | |
所得税④ | 9,600円 | 15,600円 | |
市県民税⑤ | 所得割・均等割 26,900円 |
所得割・均等割 38,500円 |
|
控除合計⑥ (②+③+④+⑤) |
41,400円 | 286,680円 | |
年間手取りベース(①-⑥) | 1,183,600円 | 1,283,320円 | |
扶 養 の 可 否 |
所得税 | 控除対象配偶者 × 配偶者特別控除 38万円 |
控除対象配偶者 × 配偶者特別控除 31万円 |
健康保険 | ◯ | × | |
参考 | ・年収 103万円以下・・・配偶者控除可 ・年収 130万円未満・・・健康保険被扶養者=第3号被保険者 |
||
基礎控除額 | 所得税 38万円 市県民税 33万円 |
※所得税、市県民税は扶養、生保・地震保険料等の控除無し、配偶者特別控除額は居住者の所得金額 900 万円以下で試算しています。
※このモデルは平成 30 年 8 月現在、静岡県の試算であり、法令が変更になった場合はこの限りではありません。試算は目安です。